【スパイク特集vol.4】アディダスジャパンフットボール商品開発・企画担当者の山口さんにインタビュー!

古平 翔太

ご無沙汰しております、スパイクコラムを担当いる古平です。スパイクコラムは同好会カテゴリの選手向けにスパイクの選び方などを伝授するためのものでしたが、正直なところ自分の趣味感覚で記事を作成していました。(笑)

ところが今回、奇跡的なめぐり合わせもあり、アディダスジャパン フットボールシューズ企画担当者である山口智久さんに独占インタビューをさせていただくことができました!!!スパイクヲタクの僕としては、「生きててよかったー!!」と思えるほどの出来事です!(笑)

マニアックなお話もたくさんお聞きしましたが…

“同好会の選手向け”に落とし込んでみたので、ぜひ最後までご覧ください!

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-まずは、現在の仕事内容について教えてください。

僕はアディダスジャパンのマーケティング事業部に在籍しています。そのマーケティング部隊も競技ごとに別れています。自分は、マーケティング部隊のフットボール担当の中でも商品担当です。具体的には、日本規格のパティ-クの企画や開発、世界共通のモデルを日本で売るための値段設定や、広告宣伝部隊にどのように発信してもらうかというのをインプットしたり、どのような選手を通してプロモーションをするかなど、フットボールに携わる商品すべての案件に携わっていますね。

 

-えー!じゃあ、あのパティ-クXや、全国高校サッカー選手権でたくさんの選手が履いていたCOPA17の生みの親ってことですよね!?

そういうことになりますね。(笑)

 

-実際に愛用している自分にとっては頭が上がりません!(笑)

次に、山口さんの大学時代とアディダスに入社した経緯についてお話を聞かせてください。

大学4年間青山学院大学のサッカー部でサッカーばかりしていました。トップチームに上がることはできたのですが残念ながらレギュラーになることはできませんでした。その頃から、中学時代のジュニアユースが東京ガス(現FC東京)でスポンサー契約しているアディダスのスパイクを愛用していたら勝手に“玄人はアディダスだ”みたいなイメージが出来上がってしまって。(笑)そこからずっとアディダスのスパイクを愛用しています。会社でその話をすると、「媚び売ってんだろ」とか言われますけど本当なんですよ。(笑)ただ、本当に自分が満足できるスパイクに出会えたかと言ったら、そうではなかったんですね。そういったものを自分で作りたいと思ってアディダスに入るということを夢見ていた感じですね。だから、英語は絶対必要になるなと思ったので、英文学科で4年間勉強をしていました。自分はプロに行く能力はなかったですが、シューズへのこだわりだったり、サッカーが好きでサッカーに携わりたいという想いに関しては、絶対に負けない自信があったので、そこを自分のフィールドにしようと考え、就職活動を行いました。ただその想いだけじゃ通じないですけど、僕の場合は超ラッキーでたまたまアディダスに採用してもらえたって形ですね。(笑)実力とか努力の賜物ですとは言えなくて、運と縁があって本当にたまたま採用してもらえたと思います。

(山口さんが就職活動を行った二年後以降、アディダスジャパンの本社勤務における新卒採用は行わず中途採用のみになりました。)

 

-いや~、でも運も実力の内と言いますよ!(笑)

良く言うとそうですね。(笑)その想いが伝わったということにしておきましょう!

 

-では、今回山口さんがCOPA17の開発に至った経緯やそのコンセプトについて教えてください。

まず、コパムンディアルというスパイクが1982年に立ち上がって、アディダスの名品として続いてきたのですが、35年前のシューズが果たして今のプレイヤーの足に本当に会うかと言うと全部が全部そうとは言えないだろうというところが始まりでした。リサーチをした結果、コパムンディアルのようなレザーの足なじみやフィット感、柔らかいボールタッチを求めるプレイヤーは、まだまだたくさんいるということが分かりました。なので、レザーの良さを残した上で、今のプレイヤーのためのベストなレザーのフィッティングシューズをもう一度立ち上げましょうというのが、今回開発に至ったきっかけです。

そこで、アディダスのレザーのフィッティングシューズといったら、コパムンディアルという名品があるので、その伝統だったり強みを駆使しながら、今の10代、20代のフットボールプレイヤーによりフィットするような現代版のテクノロジーや足形や設計を駆使してリニューアルをすることが現代のプレイヤーのためになるという想いでCOPA17が立ち上がっています。ちょうど今年でコパムンディアルが生まれて35年なので、35周年という記念も加味して現代版の新しいCOPAを作ったという意図がありますね。

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今年で35周年を迎えたアディダスの名品”コパムンディアル”

 

-また、COPA17のHGモデルを開発した際、工夫した点などはどのようなことですか?

日本のプレー環境は堅い土のグラウンドが大半を占めていて、最近では人工芝のグラウンドも増えてきましたが、ヨーロッパなどのようなふかふかの長い天然芝のグラウンドでプレーすることはかなり少ないので、使うスパイクもそのプレー環境に合わせないといけません。そうでないと、プレイヤーの足にも良くないですし、パフォーマンスも落ちてきてしまうので、日本市場向けにしたHGモデルは、僕がドイツ本社の担当者と協業という形で開発をしました。特に日本人は、レザーのフィッティングにこだわる人が多いので日本人の足形に合わせ、さらに日本でのプレー環境に特化したHGモデルを作るべく、様々なテクノロジーを搭載しました。

  1. ベースとなる足形は日本人仕様となる“ネオジャパニーズマイクロフィットラスト”を搭載しています。
  2. また、カンガルーレザーは世界共通なのですが、HGモデルでは、革の縫い目(ステッチ)の補強を通常一本のところを二本の縫い目(ダブルステッチ)にしています。このように密度を高めることによって、よりハードグラウンドでの革の耐久性を上げ、型崩れをしにくくして、スムーズな足なじみを長く維持できるように工夫しています。
  3. 日本人のフィッティングへのこだわりはものすごく強いので、スパイクで最も重要なかかと部分を、通常一つのところを二つのヒールカウンター(ダブルヒールカウンター)を搭載することによって適切なかかとのポジションをよりキープできるようにしました。

以上のことが日本規格のCOPA17の工夫した点ですね。世界共通で売られているもの以外で、その国に特化したモデルは、日本規格の“HGモデルだけ”というところも知っていただけると嬉しいですね!

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山口さんが手にもっているものが今回リニューアルされた”COPA17”

-その国独自のモデルは日本だけなんですね!アディダス ジャパンの本気度は本物ですね!(笑)

続いて、読者の方からいただいた質問に答えていただきます。

「小、中学生の頃、最強のサッカースパイクと言えばアディダスのプレデターシリーズだったのですが、プレデターシリーズはなぜ廃盤になってしまったのですか?」

今は、ACE、X、COPA、MESSIのアイコンモデルといった4シリーズを展開しているのですが、2015年に行われたアディダスの大改革で、今までの固定概念を一回リセットすることになりました。先ほどもお話をしたように、現代のプレイヤーがどのようなパフォーマンスの特性があるのかとか、シューズにどんなものを求めているかをリサーチしました。その結果、以前はフィット感や機能性がメインだったものが、今ではそれにプラスしてスパイクのファーストインプレッションだったり、自分の個性をどうスパイクで表現していくかというような、よりファッション性が求められるようになったことが背景としてあります。プレーを助ける機能性だけではなく、自分自身のアイデンティティを表現できるシューズを作っていくべく、一回過去をすべてリセットして、まったく新しいモデルを立ち上げるという決断を下しました。キックやトラップボールコントロールを駆使して、ゲームをコントロールするタイプの選手向けに“これぞアディダス”と言われるようなACEというスパイクを展開することになりました。以前から、プレデターシリーズを愛用していた選手の多くは、このACEを着用しているのではないでしょうか。

 

-完璧に自分がそのパターンです。(笑)

次に、「ハイカットのスパイクが出たり、近未来的なものが多く発売されていますが、今後サッカースパイクはどのような進化を遂げていくのですか?」

シルエットとしては、足首までソックスと一体化している、ハイカット的な形が今後、まだ続いていくかなというのを感じています。実際、そのような形をとると、靴と足とのギャップが少なくなり一体感が増しますからね。また、スパイクの素材もひと昔前まではCOPAのように、カンガルーのものが最高級だったのが、今は必ずしもそうじゃなくなりつつあると思います。トップレベルの選手になればなるほど、まだまだカンガルーのスパイクを愛用している選手は多いですが、ニット素材など人工皮革の発達によって、カンガルーに引けを取らない、もしくはそれを上回るレベルの素材に仕上がってきています。それは今後も継続されて、天然皮革だけではなく合成の人工皮革の進化は間違いなく進んでいくと思います。特に重量は、昔とは比べものにならないほど軽くなったので、最低限の軽さのボーダーラインをクリアしたものでないと、受け入れられないだろうと感じています。昔のプレデターは片足300gだったので、今のアディダスの一番軽いモデルの両足分の重さがありますからね(笑)今後も軽量スパイクの時代は続いていきます。

 

-最後に、同好会カテゴリの選手にスパイクを選ぶ際に、何かアドバイスをお願いします。

大前提として自分の足に合っているものを正しく選ぶことが一番のポイントです。大学生ではできている人がほとんどだと思いますが、小学生のお子さんやその親御さんの中にはスパイクのサイズ選びを間違えている人がいます。このようにつま先でトントンとするのは間違いで

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人間は必ずかかとから着地するので、正しくはかかとをトントンしてサイズを合わせなくてはいけません。

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特に日本のように堅い土のグラウンドだと、足先のサイズ感が少しでも合っていないだけでダフッたりして、つま先が剥がれてきてしまうので、まずは、自分の足型をしっかりと把握してもらいたいですね。足型を計測することができるので、自分の足がどのようなかたちをしていて、どのような履き心地が自分の足にとっては一番良いのかというのを、自分なりに考えて、こだわりを持って自分の足に合うスパイクを選んでもらいたいです。とは言うものの、お店ではちゃんとフィットしていると思っても、それは“静的フィッティング”であって、実際外でプレーする時の“動的フィッティング”だと「何かこれは違うんだよな~」と思った経験が誰しもあると思います。なかなかお店の中で走り回ったりボールを蹴ることは難しいですが、人工芝を敷いているお店もあると思うので、そこで軽くステップを踏んで“動的フィッティング”ではどのように足にスパイクがくっついてくるかまで、こだわって選んでもらえるとより自分に合ったものを選べると思います!

 

-なるほど。やっぱり自分に合ったいいものを選ぶためには、最後は“自分の感覚次第”ということですね!本日は、インタビューをさせていただき、ありがとうございました!

僕も同好会の選手と話す機会があまりなかったのでとてもいい経験になりました。大学体育会だけでなく同好会カテゴリも応援しています!

 

-最後に大変嬉しい言葉をいただきました!みなさんもぜひ“こだわり”を持って、スパイクを選んでいきましょう!

Written by

古平 翔太

Shota Kodaira

早稲田大学 FC.GUSTA

Keywords

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