【チームの根vol.4】”同好会の黒子の中の黒子”中央大学サッカー同好会 長谷川拓(4年=日野台)

BeYonD 編集部

今年度で設立50年と深い歴史を誇る中央大学サッカー同好会(以下、同好会)。今回は、自他共に認める”ノリと勢い”のチームを陰で支え続けた、元副会長、長谷川 拓[留学中(時差13時間)]に焦点を当てた。

 

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 “同好会の黒子の中の黒子”中央大学サッカー同好会 長谷川拓(4年=日野台)

ーー先ずは1,2年次を振り返ってもらった

『同好会のことは高3辺りから知ってて、高校が大学と近いこともあって先輩も所属してたから大学決まった辺りから連絡とっててそのまま入ったって感じかな』

 

特に他のサークルを考えるという事もなく、サッカーを辞めるという選択肢も無かったようだ。

 

『そこから1年生の時は授業の関係で週1回しか本当は行けなかったんだけど、マックス週4回行く時とかも全然あった。自分が先輩っ子だし先輩が良くしてくれたから』
と、1年生の時からドップリ同好会に時間を費やしていたようだ。

ただ同好会でサッカーをすることに置いてギャップも感じたという。

 

『やっぱり高校生のときとかはサークルって遊んでばっかりみたいなイメージだったんだけど、なんだかんだ選手権出たことある人とかもいるし、レベルが高くて、ついていけかなって思ってた』

 

そのギャップも乗り超え彼は魂を売ったかのごとく同好会に参加する。そんな1年時を振り返ると

 

かなり変わっていたと思う。1年生ながらに同好会の事を考えていたというか。マガハイで自分のチームが決勝トーナメントに行けなくて、先輩とかに申し訳なくて泣いてしまったこともあった。練習で気を抜いててグダラしてしまって、その週の試合に負けちゃった時とかは当時の会長にすみませんってLINEとかすることもあった』

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捉え方によっては自意識過剰とも思えるが、そこは優しく、責任感が強いという事にしよう。
自分で責任を感じてしまうタイプと語る彼は、2年生になり引退した先輩の良いところを続け、新しく入ってきた1年生を巻き込もうという使命感を持っていたようだ。

2年生になり幹部を引き継ぐ。1年生の学年合宿から彼はキャプテンというものに憧れを抱きやりたいと思っていたという。周りから見たらそれはあからさまだったようだ。

同好会の会長は立候補制で、彼を含め3人が立候補していたようだ。

 

『3人が会長に立候補するっていうちょっと異常な感じだった。結局俺は投票でダメで。まぁみんなにも向いてないって言われてたし(笑)それでも副会長になれたのは俺があからさまだったってのもあるけど、みんなが俺の気持ちを理解してくれたからかな』

 

仲間には会長に向いてない向いてないと言われながらも、投票は割れに割れた。この話だけでも彼が同好会から愛され、信頼されていたことが伺える。
2年次の新関東リーグ。ここまで全力疾走で同好会と突き進んできた彼だが・・・

 

『秋ぐらいから自分たちの代のことを考え始めて、リーグの途中くらいかな。もちろん同好会に対して責任ってものは感じてたけど、うまく気が入らない時があって。やりきったというか、疲れたというか。そこら辺から俺に仕事する”キャラで仕事しろ”みたいな感じがあった。キャラって何?みんなやるもんじゃないの?なんでこんな背負わなきゃ行けないんだ?って思った時期があった』

そんな理由もあり、いままで週4回の練習全てに参加していた彼は、週3回の参加にするという小さな抵抗を見せたという。

 

『まぁ小さな抵抗なんだけどそれでも気づいて声かけてくれる人とかが居て。それも今思うとあんだけ行ってたから気づいてくれてたのかなって思う』

新関東リーグが終わり代替わり。その後の学年合宿が彼の中では最も思い出に残っていることの一つのようだ。

 

『俺らは実力ではなく、平等に分けた2チームでエントリーして、俺のチームは準優勝したんだけど。トーナメントで、フースバルとか早稲田理工とかに勝って。リーグ戦とかは下手だから俺は出れないんだけど、自分が出て勝てるって言うのがすごい楽しくて。唯一自分が試合に出て楽しかったって大会かな(笑)』

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そして3年生と、最高学年となった。

 

辛かったかなぁ。最後の結果だけ見るとまぁ辛いんだけど。楽しくはなかったけど充実感はあったかな。本当にずっと考えてた1年間だった

 

 

ーーそんな1年間を振り返ってもらった

『チームの理想としてたのが一個上と二個上をうまく混ぜたチーム。二個上は上手かったんだけど泥臭さがなくて、一個上はその逆。だからそれぞれの良いところを混ぜ合わせたかった

そんなチームの初陣となった学内戦とその後のグアムチャンピオンシップで彼らはタイトルを獲った。

 

『2年間タイトル獲れてなかった状態でコロって取れちゃって。学年合宿で負けたチームにも勝てたし、正直もっといけるかもとは思ってた。まぁけどだよね・・』

歯車が組合出さなくなったのは新歓辺りのようだ。
もともとチームとしての方向性が統一しておらず、そこで新一年生が加入し、目指していた4大タイトルの一つ新関東カップを迎えた。

 

『初戦は勝ったんだけど、ベスト8で負けちゃって。本当に呆気なくというかコロッと負けてしまった。4大タイトルの一つがこんな感じで終わっちゃって不完全燃焼感が凄かった。このままじゃやばいと思って三役としてやろうとしてたけどやりきれてなかったなと思う』

その後マガハイを迎える。ここで彼は壁にぶちあたる。

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『まぁ自分がサッカー下手なのはずっと分かってたことなんだけど、三役なのにBチームで、しかも出れない。幹部なのにサッカー出れないって、どうやってチームをまとめたら良いんだろうって想いがあって苦しんだ』

ただその中でも彼なりのやり方を模索していたようだ。

 

『自分にしか出来ないことってなんだろう?って考えた。全体の事としては、みんなには優勝のことしか考えて欲しくなかったから、それが出来るなら自分がどれだけきつくてもいいやって切り替えた。だからスケジュール管理とかは事細かにやった。それでうれしかったのは、あんま考えて言ってなかったんだろうけど同期に「拓、副会長でよかったわ」って言われたのは思い出に残ってる』

なにげない感謝が心に響いたという。

 

『あともちろん3チーム(中大同好会として3チーム出場)どのチームにも優勝して欲しかったけど、やっぱり自分のチームのことを考えてて。おれは出たいんだけど、チームのことを考えると違うとも思ったし。結局俺が出て予選リーグは勝ちあがったんだけど、チームのはしご役となって常に意見を交し合って、ベスト8までいけた。決勝トーナメントは俺は出なかったけど、あれはめっちゃいい思い出だし、いいチームだった』
と、自分なりの戦い方でチームをいい方向に導けた確信があるのだろう。その目に曇りはなく、充実感さえ伺えた。

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そして集大成の新関東リーグを迎える。

『その前のアットホームカップで結果だけちょっと出ちゃって。そのままヌルってリーグに入って開幕戦、2節、3節って負けてしまった。あの時はねぇ・・・きつかったね。どう考えてやっても結果は出てこないし。そういうのが続いて、後輩も”また負けか”みたいになって離れていきそうで・・・俺も試合出てないからなんとも言えなかったんだけど、俺が下がってたら駄目だから、一人ひとりをみてそれぞれに声かけてモチベーションあげて、がんばらせようとしてた』

ただ実らず降格という形になってしまった。

 

『やっぱり粘り強さとかが足りなかったのかな。一昨年も2節まで似たような状況で、もっとやろうってなれてそこから逆転できた。そこが今年は無くてずるずる言っちゃったのかな』と後悔をちらつかせた。

続いて副会長としての自分を語ってもらった
その中でうかがえたのが彼の同好会への愛だ。

 

『三役なのに試合に出れないってのはやっぱりきつかった。だからほかのところでってのは常にあって、ずーっと同好会の事を考えて生活してた。合宿も多いし、変な伝統のせいで後輩にめっちゃ奢るから、お金もすぐなくなってバイトも沢山したけど、その間も。合宿の手配とか出席を片手間にやってたりして。車の手配とかも、皆どこから乗ったら乗りやすいかなとか全員に確認したり。LINEで出席取る時は、どうせ来るんだから皆すぐスタンプ押せよとか思うこともあったけど(笑)』

数々のつらさが垣間見えた。なぜそこまで尽くせたのかと聞くと

 

『伝統を引き継がなきゃって言う責任だったり、この役回りでしか、自分が輝けないってのもあるけど。やっぱりシンプルに同好会が好きだったからかな。いまでもあいつらうまくやってるかなって遠い所から考えてるし』

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3年間全力疾走でも尽きることの無かったチームへの愛。それはサッカーを通じて先輩、後輩そして同期との関係の中で何倍にも大きくなったものだろう。

やっててよかったことを聞いてみた。
『ありきたりだけどいろんな人に感謝される時かな』

決して目立つ仕事ではないだろう。チームの裏方を背負い、頭を絞りチーム第一に考えて運営を行う。ただそんな仕事に対しても「ありがとう」という言葉をかけて貰えると、自分がやってたことを見てくれてたんだと思えたという。

 

 最後に自分の立場を語ってもらった。

『友達に言われたことなんだけど、黒子の中の黒子かな。プレーヤーが表に出てるスターだとしたら、黒子はそれを支えてる応援団だったり、マネだったり。俺はそいつらもまとめて裏で支える黒子の中の黒子かな?裏も皆の見えないところ、感謝されないところだけど頑張っていけるから。まぁ二度とやりたくは無いけどね(笑)』

先輩から受けた愛を何倍にもしてチームに還元した。彼の仕事は目立たずとも無償の愛は感じ取ることが出来た。サッカーサークルに所属しながら「試合に出たい」という気持ちを殺してまでチームのために裏方に徹することの出来る愛情は計り知れない。それほど素晴らしいチームであり仲間なのだろう。

海外で戦う長谷川に今年の同好会は吉報を届けられるのか。期待だ。

中央大学 サッカー同好会のチームページ

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