【チームの根vol.2】 ”モモレンジャー” 法政大学学団連サッカー部 高野勇貴(3年=日大習志野)
BeYonD 編集部ピッチに立てるのは11人。ただチームの力はその11人じゃ決まらない。自分を下手くそ、盛り上げ役と表した男の胸に秘めた思いに迫った。
法政大学学団連サッカー部 高野勇貴(3年=日大習志野)
まずは学団連入部から振り返ってもらった
「最初は別に学団連じゃなくてもよかった。きっかけはサークル選びを一緒にしていた友達が学団に入ったから。一年生の時はもう一つ別に入っていたフットサルサークルばっかり行っていたし、学団連はサッカーも強いしあんまり自分には合わなそうだったから、イベントくらいしか行ってなかった」と明かした。
転機は一年時の冬だった。
「自分でもよくわからないけど一年生大会に参加してて、チームが準優勝した。それまで練習とかにもまともに参加していなかったし、当然試合にも全然出られなくて。でも準優勝してみんなが喜んでいた。自分は内心全然喜べなくて、何やってんだろうって思った。多分そこが学団連に行きだしたきっかけかな」と語ってくれた。
結果を上げ、皆で喜ぶ輪の中に何もできなかった自分が入れないことで奮起させられたようだ。
二年生に突入し、幹部を引き継ぐタイミングで彼は総務に抜擢された。(主に練習場所の手配やイベントの管理)「二年生でそろそろ自分たちの代だって時に、幹部の枠が一つ空いていて自分が入った。周りは出てるやつらばっかだったし俺でいいのかなってのはあったけど引き受けた」
幹部としてチームの中核になったことでも、サッカーへの意識は変わったようだ。
「当然幹部なわけだから試合にも全部行った。けれど自分の出番は勝ち試合の最後とかで。それが本当に嫌だった。そこが一番練習に取り組めたモノかもしれない。」
“うまくなってやろう”という純粋な気持ちと“見返してやろう”という野心とともにとにかくがむしゃらに練習に励んだという。常に悔しさをバネに、自分のサッカーへの、学団連への熱意を一段階も二段階も上げてきた、そんな1、2年生を過ごしていたようだ。
3年生になり、彼らの目標はとにかく“上”だったようだ。夏のマガ杯の結果は五位。決して悪い成績には聞こえないが、大きな壁にぶち当たっていたようだ。
「五位っていう結果だったけど負け方が微妙だった。ここでもっとやらなきゃ上には行けない、学内戦でも勝ち上がれないって気が付いて練習量も一気に上げた。後々振り返るとマガ杯は自分たちの位置を知れたいい機会だった」
そのこともあってか、学団連3年生は見事学内戦優勝を果たす。特に決勝戦は思い出に残っているようだ。
「今までは疲れた時の駒みたいな感じだったけど、決勝で代表に『お前しかいない。行くぞ』って言われたときは今までで一番嬉しかった」と語った。
学内戦以外にも多くの大会合宿のタイトル、アットホームカップ準優勝、全国大会ベスト4などの輝かしい戦績をあげた。
そんな学団連の強さの根底には全員が同じ方向を向けたことにあったという。
「みんなでの話し合いの場をたくさん設けたことで、皆が同じ方向を向けたと思う。練習前とか少ない時間でも話し合うことで全員の意志が共有できた。だから誰かが大事な時期に練習に来なかったみたいなことがあったらみんなで何やってんだとも言えた。」
全員が腹を割って話し合える環境を作り、向き合い、そして同じ方向を見ることで目標が具現化しこのような結果に繋がったのだろう。全員が仲良くなければ到底できないことだ。
続いて胸に秘めていた思いを吐露してもらった。
その中で彼のサッカーとチームへの思いを感じた。
「もちろん自分が一番下手っていうのは分かってたし、みんなも口には出さなかったけど分かっていたと思う。だけど負けたくない気持ちはずっとあって、スタメンに選ばれなかったときとかは一人で黙ってなんでだよ、みたいなこともあった。けどチームのことを第一に考えてたからそういうのは絶対出さなかった、出せなかった。負けたときとかにプレーヤー、マネージャーが落ち込んでいたらチームの雰囲気を持ち上げようとしていた。それができたのはやっぱりチームを考えてのことだし、それくらいみんなが好きだったから」と、個を捨ててまでチームに徹していたこと、そしてチームを愛していたことを教えてくれた。
ただ、当然サッカーをする者として、捨て切れない部分をある。
「本当は出れなくて悔しいし、みんなをぎゃふんと言わせてやろうって思ってたし。出たら常に点を決めてやろうと思っていた。そんな中で、いつもは試合に出てミスしたらみんなに笑われたりするけど、いざ点を取ったり、予想しないプレーをしたときとかベンチのみんなが喜んでるのを見ると本当嬉しくて、サッカーやっててよかったなと思う」と、語った。そんな瞬間がサッカーにはゴロゴロ転がっている。だからこそ捨ててはいけない思いなのだろうし、捨てきれない思いなのだろう。
今回の対談は学団連のマネージャーが高野を斡旋してくれたことで実現した。そんなマネージャーとの関係も聞いてみた。
特別なことはしていないと前置きをしつつ「比較的いじられるから絡みやすかったと思う。どんなことも話したし、みんなの性格も知ろうとした。この子はこういう子だからこう接しようとかしたり。普通に絡んでただけなんだけど」
全員と仲良くし、全員を知る。普通に聞こえるがとても難しいことだ。多くのマネージャーが気兼ねなく参加できたのは彼の貢献が大きいかもしれない。
そして同時に感謝の気持ちも述べていた。
「マネージャーはみんなで仕事をしようって感じで。その中で割れることなくみんなで来てくれたのは本当にデカかった」と述べた。
最後に自分の立ち位置を教えてもらった。
「戦隊ものでいうとピンク。俺だからこそ輝ける場所がある。赤とか青とかのメインじゃないんだけどいる存在。いないとちょっとヤダみたいな。待って、難しいな(笑)」と頭をパンクさせてしまった。
ただ、言わんとしていることは分かる。五人そろって当たり前の戦隊もの。いて当然だと思われるが、いることによってチームに華を持たせることができる。取材中にその具体例は上がっていた。
「試合中はベンチにいるときは騒いでチームを盛り上げた。試合の流れが悪い中で、下手でサッカーができないキャラの俺が試合に出て、いいプレーをしたりするとチーム全体が活気づくし、そういうのは気づいてた」
彼だからこそできるチームの盛り上げ方。その華やかさは一緒にいても分からないし、いなくなって初めて気づくものかもしれない。自分の立ち位置を完全に理解し、サッカーでもサッカー以外の時も輝かせられる。だからチームのためにそう動く。それが“学団連のモモレンジャー”の戦い方だったのかもしれない。
一年生から学年で戦い続ける学団連の三年生は、四月から四年目のチームとなる。
「うちのチームは調子がいいけど真面目。みんなで『また全国行っちゃう?』ってふざけて言ってるけど、学内戦に向けて、就活の合間縫ってちゃんと社会人チームでサッカーしてるやつもいるし(笑)」
高野がピッチ内外でチームを輝かせ、学団連が今年も大舞台で暴れまわることに期待しよう。
Written by
BeYonD 編集部
beyond
BeYonD編集部です。
Keywords
Recommend
【BMOM73】マガジン杯2017・王者稲穂を率いた”肩幅オバケ”闘将末永(3年=都立駒場)
早稲田稲穂キッカーズは2017年の夏を最高の形で締めくくった。 9/8~12の5日間、マガジンカップ2017が開催され、昨年度準優勝の早稲田大学稲穂キッカーズ(以下:稲穂)は明治大学体同連サッカー部…
read more BeYonD 編集部【新入生必見!同好会チームガイドvol.6】明治大学編その2
今回は明治大学の続編です! 前編の4チームとはまた違った雰囲気を持つ4チームを取り上げていきます 明治大学の新入生は是非、このチームガイドを参考に、1つでも多くの新歓に足を運んでほしいと思います!…
read more BeYonD 編集部【BMOM37】小池建(3年=幕張総合)強烈な左足で1G1Aの活躍
【新関東カップ2017 1回戦】K9 football park ICHIHARA 早稲田大学CRUYFF 0-4 明治大学BeeVoo MF小池建(3年=幕張総合) 新関東カッ…
read more BeYonD 編集部【スパイク特集vol.4】アディダスジャパンフットボール商品開発・企画担当者の山口さんにインタビュー!
ご無沙汰しております、スパイクコラムを担当いる古平です。スパイクコラムは同好会カテゴリの選手向けにスパイクの選び方などを伝授するためのものでしたが、正直なところ自分の趣味感覚で記事を作成していました。…
read more BeYonD 編集部今後のサッカーサークル界を牽引する11人を紹介!【前編】
【学年別ROUND 1年生 ベストイレブン】 先日スポーツマネジメント株式会社が主催するFOOTBALL COMPETITION 2022【学年別ROUND】1年生が開催されました。また、決勝戦…
read more BeYonD 編集部【新入生必見!同好会チームガイドvol.5】明治大学編その1
さてさてやってまいりました!華のMARCH!明治大学編です。 今回は、関東サッカー同好会カテゴリー最大のリーグ、新関東フットボールリーグに所属する4チームをご紹介します。 明治大学Groovy…
read more BeYonD 編集部【フットサル新歓記事vol.5】東京大学編(さんぱち先生、FIFTY626)
・自分達のサークルを一文で表すなら 以和征技 ・大学、チーム名 東京大学、さんぱち先生 ・活動地域 東京都内 ・設立年 2000年 ・所属リーグ F…
read more BeYonD 編集部【フットサル新歓記事vol.2】明治大学・中央大学編(体同連フットサル部GOONY、中央大学 FC Brooklyn)
明治大学体同連フットサル部GOONY ・自分達のサークルを一文で表すなら フットサルを通じて、大学生活を充実させる場所。 ・大学、チーム名 明治大学、体同連フットサル部GOONY ・…
read more BeYonD 編集部【BMOM94】歓喜の逆転弾!静かな司令塔がこの日は主役に!?
5月19日にサークル界の「国立競技場」、鹿島ハイツで行われた新関東カップ3回戦。 新関東リーグ1部の明治生田蹴友会(以下:明治生田)と2部中央大学…
read more BeYonD 編集部【フォトギャラリー】稲穂フェスタ決勝 フースバル vs 青山理工
中央大学体同連フースバルクラブ 今年一番の注目選手の10番大石(3年=藤枝東) 何でもこなすトップ下のルーキー田島(1年=正智深谷) この日決勝点を決める活躍…
read more BeYonD 編集部



