【チームの根vol.8】 “自己犠牲” 慶應義塾大学理工体育サッカー部 愛野幸陽(4年=穎明館)
BeYonD 編集部
77期にも及ぶ歴史を持ち、同好会カテゴリー最古参の慶應義塾大学理工体育会サッカー部(以下リコタイ)。
今回をそのリコタイを昨シーズン、副代表としてチームをまとめた男に迫った。
慶應義塾大学理工体育会サッカー部
愛野幸陽(4年=穎明館)
ーーまずは1,2年次を聞いてみた
『リコタイを選んだのは、弱小校ではあったんだけど、それなりにしっかりサッカーやってきて、大学でもやりたいなって思ってた。当時はまだサークルにチャラチャラしたイメージを持ってて、準体育会ってのに惹かれて環境もいいしリコタイを選んだ』
『一年生の時、先輩とかにも良くしてもらって、楽しくサッカーをしてる感じで、純粋にリコタイを好きになった期間かな』
『2年になって四月にがっつり大怪我をした』
入院手術が必要な大怪我。今でもプレートが埋まっていて、砂鉄がくっつくようだ。半年間サッカーのできないで、参加することができないことに歯痒さを感じていたようだ。
『大学2年だと、学校も楽になるし、その期間にサッカーをできないってのはすごいきつかった。マガハイの選考合宿で次期幹部を決めるんだけど、そこで副代表になった。正直、サッカーしてない自分がって不安の方が大きかった』
ただし元々サッカーでガツガツ貢献していくと言うタイプでないと言うことを自覚していたようで
『サッカーだけじゃなくて、運営面でもっと貢献していこう』という、副代表としての下地を作る。皮肉ではあるが怪我をしたことをきっかけにそれを作ることになったのかもしれない。
ーーそして幹部代を振り返る
本格的スタートは新関東リーグ終わり。
『リコタイとしての大きな目標は、全国優勝。そこに行き着くために、短期的な目標として慶応カップ優勝を掲げてた。これまで何年も連続でリコタイが優勝していて、自分たちの代で途絶えさせるわけにはいかないっていうプレッシャーは大きかった』
実際に慶応カップ優勝を果たしたものの、予選で苦しんだり、PK戦を経るなど、決して楽に優勝できた訳ではなかったようだ。
愛野自身の試合出場は決して多くなかった。
『まぁ少ないかな。勝ち試合の最後に出たり、ほとんど出ないって感覚でいいと思う。基本的には理工系リーグとかマガハイとかでのBチームのキャプテンって立ち位置だった』
Bチームキャプテンとしてマガハイを迎える。1番に出た言葉が”悔しかった”だ。
『なかなかうまくいかなくて、下位トーナメントに回っちゃって苦しい思いをした。でも悔しかった分、初めてかった時の感動はすごかった。サッカーやってて初めて試合で泣いた(笑)』
『一緒にBチームで戦ってくれた同期には本当に感謝してる』
一方のAチームはマガハイでベスト4まで登りつめた。チームの成功を心から喜ぶことができ、やってきたことは間違っていなかったと感じられた瞬間だったようだ。
しかしその後のアットホームカップでは目標としていた全国大会出場権を逃してしまう。
『マガハイでいい形で終われて、リコタイが全国優勝をできることがイメージできてた分かなり悔しかった』
その後の新関東リーグでも、最終節まで首位を守るものの、最後の最後で一部昇格を逃してしまった。
『リコタイが一部の面々に肩を並べる姿を見たかったし、自分たちの代でそれを成し遂げて、後輩に引き渡したかったけど。。』
ーー最後に副代表としての自分を振り返ってもらった
決してAチームとして、リコタイにサッカーで貢献することはできなかった。
ただし、副代表として心の底からチームの勝利を喜び、負けを心の底から悔しがれていた。
そこには愛野の考え方によるものがあるかもしれない。
『サッカーの結果を出すのはAチームの20人かもしれないけど、リコタイってプレマネ合わせて、100人を超えるチームで、残りの80人が大事だなぁって思ってた。副代表として残りの80人にとっても楽しい組織であるようにしたくて、100人で作り上げるリコタイにしたかった。代表ともう1人の副代表はサッカーでグイグイ引っ張っていけるタイプだから、チーム内のベクトルが違くても、自分はAチーム以外とAチームのつなぎ役として頑張ろうと思ってた』
勝利を掴んだとき、心から喜べるのは自分が中心として動いているからではない。
『自分がみんなのために考えて、動いて、結果として出て、みんなが喜んでいる。それがすごい快感だった。みんながリコタイを好きになってくれたらって思いが強かった』
自己犠牲を払ってでも、みんなが喜んでくれたらそれが喜びというあまりにも出来すぎた想いで彼は1年間を駆け抜けた。
『こんなチーム愛を語るのは恥ずかしい』
そう語った彼に、副代表をやっていて何が辛かったかと聞くと、長い沈黙の後に
『ぱっと思いつくことは無いかな(笑)』
チームをまとめるという大仕事を、辛いと思わずやりきった彼のリコタイ愛は本物だろう。
『幹部になってからは、毎日幹部ラインで話し合ってたし、チームのことは常に考えてた。あとは後輩に感謝かな。僕らは比較的静かな代で、一個下が積極的で元気な代で雰囲気とかの部分ですごい助かった』
そんな後輩が、今まさに最後の戦いを迎えようとしてる。
『一個下は強いし、雰囲気もいいし、是非全国優勝と一部昇格を成し遂げて欲しいですね』
先日行われたアットホームカップではリコタイは見事に決勝進出を決め、目標の第一段階である全国大会優勝を決めた。
今シーズン新関東カップ、マガハイでは振るわなかった結果だが、ここに来て結果について来た。
愛野の描く”100人のリコタイ”で古豪復活への狼煙を上げる。
Written by
BeYonD 編集部
beyond
BeYonD編集部です。
Keywords
Recommend
【美女マネvol.23】今回はフォトジェニックセミロングな美女マネ!!
こんにちは! 最近の異常な暑さに、地球温暖化を改めて感じますね! 温厚な私でも、暑いとつ…
read more BeYonD 編集部【BMOM120】fc.elfを悲願の初優勝へ導いたスーパー1年生!
3月27日新横フットボールパークにて慶應義塾大学学内戦2019決勝が行われた。 昨年優勝チームの慶應キッカーズ、準優勝チームの慶應義塾大学理工サッカー部などが次々と準決勝で敗退していく中、ジャイ…
read more BeYonD 編集部【BMOM83】フースバルを勝利へと導く左足!膠着を破った左SB中村豪(2年=洛南)
2017年11月11日、ZOZOPARKにて新関東リーグ・1部第6節、中央大学フースバルクラブ(以下:中央フースバル)と明治大学体同連生田サッカー部蹴友会(以下:明治生田)の試合が行われた。 試合は…
read more BeYonD 編集部【マネの技術Vol.4】〜レンズ越しにプレを追いかるマネ達〜
7月になり、だんだん夏休みが近づいてきましたね! 夏休みは合宿にイベント、みなさんたくさんの思い出ができるのではないでしょうか。 そんな思い出を振り返るのに不可欠なのが“写真”。 プレイヤーの真…
read more BeYonD 編集部【BMOM42】鉄羅周太(2年=郡山)驚異の無回転キッカーの強烈な一撃で試合を決定づける!
5月20日新関東3部所属の首都大学東京八雲FC(以下:八雲)は、同リーグ2部所属の慶應義塾大学FC.e.l.f.(以下:e.l.f.)と対戦した。 立ち上がりの得点で試合を優位に進めた八雲だったが、…
read more BeYonD 編集部初代「Beyon d’Or」決定
BeYondによる新企画!!! その名も「Beyon d'Or」※ビヨンドール どこかで聞いたことがあるような響きですよね。 そうです国際サッカー…
read more BeYonD 編集部【美女マネvol.20】「シロガネーゼ」で有名なあの土地から、爽やか美白マネ!!!
こんにちは! 美女マネです。 約1ヶ月ぶりの美女マネですね! そう言えば、 前回の美女マネは55リツイート、181いいねという過去最高の反響…
read more BeYonD 編集部【BMOM31】田中圭介(1年=日大藤沢) ”食いしん坊ドリブラー”
【BMOM31】法政学団連サッカー部 MF17 田中圭介(1年=日大藤沢) 先日行われたGuam Championship 鹿島ハイツラウンドにて法政大学学団連サッカー部…
read more BeYonD 編集部【特別企画】マガ杯髪型特集!通称“マガ髪”2018!
皆さんこんにちは! 今回はマガ杯特別企画で去年に引き続きマガ杯参加者の髪の毛特集を行なっていこうと思います?♂️?♀️ 普段はバイトの関係や諸事情で染められない人もこの1週間のためにた…
read more BeYonD 編集部【BMOM67】岡内学人(3年=市立千葉高校)持ち前の技術と笑顔で優勝へと導く!
先日行われた千葉大学学内戦決勝戦で常にピッチ全体を見渡し、決定的な仕事はなかったもののボールによく絡み攻撃のリズムを作った千葉大学FORZZA(以下FORZZA)岡内学人(3年=市立千葉高校)が決勝の…
read more BeYonD 編集部