【新関東カップ2018準決勝】前線からのプレスからチャンスをものにした早稲田稲穂。慶應e.l.f.を下し4連覇をかけ決勝へ。
BeYonD 編集部RESULTS
新関東カップ2018 準決勝
稲穂キッカーズ
F C e . l . f .
グラウンドが取れていない事態が発生し、延期となった新関東カップ準決勝。1週間後にリスケジュールされたものの、アルバイトのシフトをほとんど全員が変えてもらいフルメンバーが揃った新関東カップ4連覇を狙う早稲田大学稲穂キッカーズ(以下:早稲田稲穂)。王者稲穂を迎え撃つは、新関東1部の立教愛好会を3-0で破った慶應義塾大学FC e.l.f(以下:慶應e.l.f.)。足元の技術を活かしたポゼッションに定評のある慶應e.l.f.が早稲田稲穂のハイプレッシャーを掻い潜り、ゴールを奪うことができるか。非常に楽しみな一戦が雨上がりのzozoパークでキックオフ。
慶應e.l.f.スターティングイレブン
早稲田稲穂スターティングイレブン
前半
序盤から早稲田稲穂が俊足の9番室橋(2年=國學院久我山)にボールを集めを慶應e.l.f.を押し込んでいく。幾度となく強豪チームを封じ込めてきた早稲田稲穂の勢いはこの日も目を引くものがある。
一方、ボールを丁寧に繋いでいきたい慶應e.l.f.は10番待場(3年=エスペランサ)が自由な動きでボールを落ち着かせていく。最前線にはレバンドフスキを彷彿とさせるフォワード99番麻生(2年=佼成学園)が待ち構え、早稲田稲穂ディフェンスのスキを伺っていく。
ロングボールのセカンドを鋭い出足で拾っていく早稲田稲穂。性格無比なキックが持ち味の6番近藤(3年=日大藤沢)のスルーパスに豊富な運動量で相手をかき乱す47番山根(2年=湘南)が抜け出すも、濡れたピッチの影響でトラップはできず。
9番室橋、47番山根、そして今最も同好会カテゴリで止めるのが困難なフォワードであるエース97番中島(2年=早大本庄)等の前線のスピードを活かしたい早稲田稲穂は積極的に裏のスペースを狙い何度もコーナーキックを獲得。
長身の77番梶原(2年=都立狛江)や安藤(3年=都立立川)がヘディングで合わせるも慶應e.l.f.ディフェンスがギリギリのところで掻き出し先生を許さない。
この日1本目の決定機は押し込まれていた慶應e.l.f.。
13分、柔らかなタッチでプレッシャーをかわした慶應e.l.f.18番田中(3年=宇都宮)がセンターバック二人の間を破る絶妙なスルーパス。99番麻生が馬力のある抜け出しでキーパーと1対1を迎えるも、ここは1番落合(3年=日大藤沢)がビッグセーブ。1対1に絶対の自身のある落合がこの日も早稲田稲穂の最後の砦としてゴール前に君臨する。
続く18分、14番宮本が前線からプレスをかけ、溢れたボールを99番麻生がダッシュ。ペナルティエリア左で大胆に縦へ仕掛けるもこれは早稲田稲穂ディフェンダーに阻まれ、シュートまでは持ち込めない。慶應e.l.f.はエースストライカーの麻生の突破から徐々に早稲田稲穂ゴール前に侵入していく。
タダじゃ押し込まれない早稲田稲穂は20分、低い位置で慶應e.l.f.のボール回しをカット。77番梶原が強靭なフィジカルを活かし相手ディフェンダーの前に侵入。浮いたボールを右足で確実に捉え、強烈なボレーシュートはキーパーの頭を超えゴールに吸い込まれる。決定機を招くもプレッシャーを緩めなかった早稲田稲穂が先制点を挙げる。
その後も攻勢を仕掛けたのは早稲田稲穂。6番近藤がスライディングでカットしたボールがそのまま9番室橋の足元へ流れる。そのまま迷わず左足を振り抜いた弾道はキーパーの手を弾き追加点。
王者稲穂が2-0という最高の形で前半を締めくくる。
後半
ハーフタイムで勢いを取り戻した慶應e.l.f.は99番麻生に前半と異なり、ロングボールを集める形で攻撃を仕掛ける。
キャプテン6番が目立つ早稲田稲穂だが、後半は2番田原(3年=早大本庄)が躍動。センターバックが背ったセカンドボールを確実に回収し、前線の走れて高いツートップへピンポイントにパスを供給し続ける。
15分を過ぎると前半に先制を許した慶應e.l.f.は選手交代で流れを変えにかかる。これが上手くハマり、3番石原(3年=専大松戸)を中心に低い位置から早稲田稲穂のプレッシャーを一つずつ剥がして、落ち着いたボール回しを披露。逆サイドへの展開からチャンスを伺うもシュートまでは至れない。
慶應e.l.f.に主導権を握られ、遅れてのファールが続く早稲田稲穂。この流れを断ち切るため、キャプテンの近藤は交代のカードを切っていく。明るい金髪が目立つ11番井尻(3年=静岡北)がピッチに登場。すると、10分ほど続いた嫌な流れをこのムードメーカーが断ち切った。ノリの良さを活かした井尻はスルーパスに抜け出し、巧みな切り返しで相手ディフェンダーを振り切る。右足で放ったシュートは惜しくも枠を捉えることができない。
押し込まれる時間があっても一瞬ムードが変わってしまえば、そのまま得点まで持っていくことができるのが早稲田稲穂。左サイドで奪ったボールを6番近藤が逆サイドの22番深津(2年=星稜)へ。キックフェイントでディフェンスとキーパーのバランスを崩し、左足で落ち着いてファーへ流し込み、駄目押しの3点目。
最後まで集中力を切らさなかった早稲田稲穂は無失点で試合を終え、3得点を全て2年生があげて見せた。スキのない盤石の布陣を要する早稲田稲穂は、関東カップ驚異の4連覇を目指し決勝戦へ臨む。
今回運営側がグラウンドを取れていなかったことにより、日時が変更となってしまったのは両チームにとって、多少なりとも不満の残るものとなってしまった。各チームより、一人ずつ選出され形成される関東大学同好会サッカー連盟は昨年発足されたばかりだ。2年目となる連盟は、初年度メンバーからの引き継ぎがうまくいっておらず、機能していない部分が多少なりあることは事実だ。しかし、今回のようなトラブルを機に、初年度連盟メンバーは現役メンバーへの情報共有を、そして、各チームも連盟に対して協力する姿勢で大学サッカー同好会を盛り上げていってもらいたい。
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