【サークル × 体育会イベント】早稲田稲穂キッカーズキャプテン 中島剣士郎『実際にはサッカーに熱中する同じ大学生』

高橋佑輔

3/27(水)に大学サッカー界新たな試みとして開催された「サークル × 体育会」イベント。この日はサークルvs体育会でバチバチの試合が繰り広げられた後に、交流会が開催され、お互いのイメージや価値観を交流しあった。

お互いに抱いていた先入観やマイナスのイメージを取っ払い、交流を深め、同じサッカーに熱中するもの同士としてお互いの壁を取り払う一歩を踏み出した。

今回はサークルの立場の代表としてイベントに参加した早稲田大学稲穂キッカーズ(以下:稲穂)のキャプテン中島剣士郎(3年=早稲田本庄)にインタビューをした。
このイベントを通し、中島は何を感じどのような気づきが得られたのか?彼が感じたサークルらしさとは何なのか?ということを伝えていきたい。

dabf71ea-6cf6-41d1-a159-d709143f61a2

BeYonD:
「先日はお疲れ様でした。まず、イベントの感想を教えてください!」

中島:
「正直、自分は最初早稲田大学ア式蹴球部(以下:ア式)と試合したくなかったんです。理由としては体育会はサークルのことを心のどこかで馬鹿にしてるんじゃないかと思ったからです。
しかし、今回のイベントを通じて感じたことは、実際には全然そんなことはなく、むしろ体育会側はサークルのことに興味を持っていてくれて、どのような練習をしているのかということや、監督がいない中でどのようにしてチームをまとめているのかなど、サークルからも何か学ぼうとしている姿勢にとても感動しました。

僕たち早稲田稲穂はこの交流会を経て、ア式になるという目標を掲げてさらにチームとしてのモチベーションが上がったので、交流会をして良かったなと思いました」

 

BeYonD:
「ポジティブに捉えることができているなら非常に嬉しいです。
イベントをやる前は体育会に対してどのようなイメージを持っていたんですか?」

中島:
「体育会は大学生活のほとんどの時間をサッカーに費やしてて、自分たちからしたら雲の上の存在と思ってました。尚且つ、先ほども話した通り、体育会の人たちはサークルという組織に対して馬鹿にしてたり、下に見てたり、「所詮サークル」と壁を作られていると思っていました。だから僕はこの交流会をア式の方からしたいと言われた時に反対していました」

 

BeYonD:
「そうだったんですね笑
私自身も当初はそのイメージを抱いていたので否定はできないです笑
それでは実際に体育会と試合をしてみてどうでしたか?」

中島:
「やはり体育会のレベルは凄いなと感じました。自分たちとは比べてものすごく質が高く、一人ひとりの意識も高く、チームとして設定している目標の高さに圧倒されました。稲穂は週3回しか練習出来ていませんが、このア式という洗練された組織にすこしでも近づきたいとチーム全体が強く思いました。

 

BeYonD:
「先制点を取ることや運動量など、自分たちのサッカーが通用している場面もあったかのように見えましたが、そこに関してはそうですか?」

中島:
「ア式の一瞬の隙をついて僕たちが2点取れたことは素直にチームとしての自信にしたいです。サークルは25分 または 30分ハーフで試合してて、時短な分最初からハイプレスなサッカースタイルだけど、それに対してア式は45分ハーフで試合してるから、うまくペース配分を考えてサッカーしています。だから実力は違えど、立ち上がりの5分~10分ぐらいは自分たちのハイプレスがはまった感覚があり通用する部分もあるんだなと思いました。Aチームの試合はスコアとしては2-3で接戦を繰り広げたように見えますが、稲穂の強みである運動量の面だったりだったり球際だったりは通用したと思ってません。サッカーのスピード感、選手の体力、戦う姿勢、味方同士のコーチングといったサッカーの選手の技術の以前のことが圧倒的に劣っていると感じました」

 

BeYonD:
「ナイスゲームでした。交流会ではア式の方とどんなお話をされましたか?」

中島:
「交流会ではア式の練習の雰囲気だったり、どのような目標を掲げているのかだったりと稲穂の練習に少しでも生かせそうなものを聞きました。稲穂としては、監督不在の中チームをまとめる難しさやア式と稲穂の違い、練習の内容や雰囲気などを伝えてアドバイスを貰ったりもしました。
あと印象に残ってる事としては、ア式の合コン事情だったり、飲み会の雰囲気だったりも聞けてとても楽しかったです笑
体育会とサークルの間には大きな壁を感じていたけど、実際にはサッカーに熱中する同じ大学生なんだなという印象を受けました」

9c4bc1d7-31af-4905-a944-bf9d1e9d49a6

BeYonD:
「交流会を通してサークルの良さや課題として気づいたこはありますか?」

中島:
「まずサークルの課題としては、監督の存在の大きさを感じました。稲穂が先取点を取った時、ア式のベンチでは監督が檄を飛ばしていました。そうなった途端ア式の選手はスイッチが入り、結果的に逆転されてしまいました。チームを良い方向へ変えてしまう監督の威厳はサークルにはない体育会との差だなと感じました。
次にチームの目指すものにサークルの課題を感じました。ア式の選手たちは本気で全員が同じ熱量で同じ方向を向いてサッカーしているんだなと対戦しただけで感じました。しかしそれをサークルに置き換えてみると、本当に全員が同じ方向を向いて活動できているのかと疑問に思いました。自分はキャプテンとして活動しているこの数ヶ月間、三冠日本一という目標を掲げて活動してきましたが、チームを同じ熱量、同じ方向に向かせるのはとても難しいことに感じていました。何度も何度も練習中に檄を飛ばして全員が同じ方向を向いて熱量高くやれる環境づくりというのを目指しているが、ア式の選手はそこにサークルほどの時間と労力をさかなくても全員が高い目標を掲げて日々練習しているので、そこは1番の大きな差かなと感じました。
しかし、そういった課題点は裏を返せばサークルの良さであるとも感じました。まず、監督不在というのはサークルの良さでもあるなと思いました。監督という象徴的な存在がいなく絶対的な正解が無い分、一人ひとりが意識を持って取り組まないと練習の雰囲気が緩くなり、意味の無い練習になってしまいます。そうならない為に周りを巻き込んで自ら率先して行動する選手が出てきて、監督が見てるからやるではなく、「チームが勝利するために俺がやる」という主体性を持った選手を生み出せる環境があるというのはサークルの良さかなと思いました。またその分サークルには正解となる指導者がいないため、自分たちで考えて模索していきながらチームを作っていけるという良さも感じました。サークルはそこにやりがいや意義があると思います。

また試合中に仲間が一体となって応援する姿勢やブラ体など、サークルが大切にしているチームの雰囲気の面や一体感はこの交流会を通して、自信ににつながったしこれからも大切にしていきたいと思いました」

 

BeYonD:
「サークル界が新たな一歩を踏み出したと思っていますが、今後サークル界がどうなっていって欲しいですか?」

中島:
「体育会とサークルという交わること無かった両者が交流したのは新たな一歩だなと思いました。せっかく交流会まで開いて自分たちの価値観や考え方、両者のギャップについて話し合えてお互いを理解できたなら、これからとしては体育会の応援にサークルで行くだったり、サークルのカップ戦決勝に体育会が応援に来てくれたりなど、もっともっと親密になれる部分はたくさんあると思います。
稲穂がこれから成長して行くためにもア式との交流をこの1回きりで終わらせないで欲しいです!」

e78dcc1c-7963-4b83-9192-e61cc7456d5e

今回このイベントを通して新たな一歩を踏み出した大学サッカー界。
体験者も感じているように体育会とサークルには実際に壁などは存在しない。
是非、皆さんもこの記事を読んだ後に、「大学でサッカーを続ける理由」や「サッカーサークルで得られる貴重な体験」というものを考えて欲しい。

この試みは一回で終わらすのではなく、すべての大学同好会サッカーカテゴリに所属する人間が胸を張って誇りを持てることができる日まで、挑戦は続いていく。

Written by

高橋佑輔

takahashi

早稲田大学 FC.GUSTA

Keywords

Recommend

コラム 2021.11.25

【BMOM142 】早稲田理工の集大成を形づける劇的ゴールを決めたスーパーヒーロー!

11月20日(土)に行われた新関東リーグ1部2021・第8節で劇的ゴールを決めチームを勝利に導いた、今節のBMOMは! 試合は早稲田大学理工サッカー部(以下:早稲田理工)と早稲田大学FC.GUS…

read more 山崎冬弥
コラム 2018.06.26

【BMOM100】梶原大和(2年=都立狛江)記念すべき100回目を飾ったのは、”強くて走れる”早稲田稲穂の長身フォワード!!

2016年11月に行われたアットホームカップ関東大会決勝で初めて執筆されたBMOMも、今回で100回目を迎えた。記念すべきビヨンド初のBMOMは早稲田大学稲穂キッカーズ(以下:早稲田稲穂)の"いぶし銀…

read more BeYonD 編集部
コラム 2022.07.24

”ホットライン”〜高校時代からの信頼関係はどのようなプレーを繰り出すのか〜

サッカーにおける”ホットライン“とは何か皆さんご存知だろうか。それは長い時間をかけて構築された信頼関係が故に繰り出される”連携プレー”のことである。大学サッカーサークル界には高校時代からの信頼関係を活…

read more 中嶋 快
コラム 2022.11.20

【新関東リーグ2022・1部・5節マッチハイライト】終盤戦に向け、勢いをつけたのはどのチームだ!?

中央大学体同連フースバルvs早稲田理工サッカー部 前半は互いに譲らず0-0で終える。後半22分中央フースバル27番大久保廉(2年=新潟明訓)のロングフィードに抜け出した33番大塚信太朗(2年=座間)…

read more 大田智輝
コラム 2017.04.07

【新入生必見!同好会チームガイドvol.13】日本大学編その2

今回は、100万人の仲間がいる日本大学の続編です! 先日紹介した3チームに続き、今回は4チーム! それでは早速、紹介して行きましょう!!   日本大学 法学部サッカー部 …

read more BeYonD 編集部
コラム 2023.03.09

【新歓記事vol.6】新入生必見!明治学院大学、駒澤大学、都立大学のサッカーサークルを比較してみました!!

明治学院大学、駒澤大学、都立大学の新入生必見!サッカーサークルを比較してみました!! こんにちは、BeYonD編集部です! 新歓記事第6弾!! 毎日投稿を続けている新歓記事も、明日でラス…

read more 編集部BeYonD
コラム 2017.07.03

【明治大学学内戦決勝】フォトギャラリー

9番井上(3年=浦和西)は確かなテクニックで前線で溜めを作り、チームに落ち着きをもたらしてきたが決勝では中々足元にボールを収めきれず。留学生クリストファーの通訳としての活躍が目立った。 …

read more BeYonD 編集部
コラム 2022.02.14

【BeYonD History vol.5】創設者が明かすビヨンド誕生秘話とサークル界への想い

大学サッカーサークル・同好会情報を発信している私たちBeYonD(以下:ビヨンド)は今年度で7年目を迎えます!!突然ですが、そんな私たちビヨンドがどのようにして誕生したか気になりませんか?? 今回の…

read more 大田智輝
コラム 2017.11.05

【新関東リーグ2017・1部第5節】王者稲穂が一つ抜け出し、残留争いはまだまだ目が離せない展開に

【新関東リーグ2017】 集中開催2日目はzozoparkから鹿島ハイツに舞台を移し、応援が許された環境での試合に全試合盛り上がりを見せた。   第1節以来勝利を挙げられていな…

read more 編集部BeYonD
コラム 2018.06.27

【フットサル】「LEGRO FUTSAL LEAGUE powered by R.project」 とは??

LEGRO FUTSAL LEAGUE2018開幕!! BeYonDでは今年度より新たにフットサル部門を立ち上げ、フットサルとサッカーの2本の柱で盛り上げることになりました!! そして、フット…

read more BeYonD 編集部

-PICKUP CIRCLE-