”ホットライン”〜高校時代からの信頼関係はどのようなプレーを繰り出すのか〜

中嶋 快

サッカーにおける”ホットライン“とは何か皆さんご存知だろうか。それは長い時間をかけて構築された信頼関係が故に繰り出される”連携プレー”のことである。大学サッカーサークル界には高校時代からの信頼関係を活かし、ホットラインを形成する選手たちがいる。そこで今回はFCNINDO(以下:慶應NINDO)と早稲田稲穂キッカーズ(以下:早稲田稲穂)のホットラインを紹介する。

ホットライン1:菊池陽×宮崎光太郎

慶應NINDOでホットラインを形成するのがエース菊池陽(以下:菊池)とキャプテン宮崎光太郎(以下:宮崎)である。慶應NINDOの中核を担うこの2人、実は高校時代もチームのエースとキャプテンとしてプレーしていた。高校3年時には有名サッカーサイト『ゲキサカ』に取り上げられたことがあるほどの実力の持ち主だ。エースとキャプテンが構築する信頼関係、ホットラインはどのようなものだろうか。本人たちに話を聞いてみた。

 

*高校での2人の関係性は??

菊池:高1のクラスが一緒でそこで仲良くなったよな。

宮崎:そうね。でも陽は最初静かで、クラスでは壁作っていたよね(笑)。

菊池:それは席のせいだよ(笑)、クラスにサッカー部が7人いたけど、俺だけ席の席が遠くて、あまりみんなと話せなかったの。(笑)

宮崎:でもある日、陽が突然俺たちの輪に入ってきて、それ以降一緒に話す機会増えて7人で仲良くなったよね。

菊池:1年のクラスのサッカー部7人は今でも仲良くて、旅行とか遊びも結構行きます!!1年のこの7人の存在は大きいね。俺たちが仲良くなったのはこの7人がいたからだね。

 

写真:高校生時代の宮崎(左)菊池(右)

高1のクラスが一緒でそこから仲が良くなった2人。高1から接する機会が多く、部活がOFFの日にはよく一緒に遊んでいたと言う。そんな親友同士の2人がプレー中に意識していたことは何であったのだろうか。

 

*高校では2人はどのようなことを意識してプレーしていた?

宮崎:俺が左サイドバックで左サイドハーフが陽でした。陽は今と変わらず、高校の時も「THE ストライカー」って感じでした。俺と陽で左サイドだったから、あまり陽に守備させないように負担を減らすことを考えていましたね。でも実際の試合になると、通用しない場面も出てきます。だから度々陽に「守備しろ!」と怒鳴っていました(笑)。

菊池:毎試合、守備しなさすぎて怒鳴られていたよな(笑)。でも俺みたいにドリブル好きな人間は守備したくないんだよね。

宮崎:陽の良さを活かすプレーを心がけていたけど、高校の戦術が「ボールをとにかく前に大きく蹴ること」だったから、陽を活かすようなプレーはあまりできなかったな。

菊池:光太郎はオーバーラップするサイドバックだから、むずかしかったね。

 

高校ではチームのサッカースタイルが理由で、自分たちの求めるプレーができなかった2人。大学では理想的なプレーはできているのだろうか。

 

*大学での2人のプレー中の関係は?やりたいことはできている??

宮崎:高校よりはやりたいことできているね。右サイドにポジションが変わって、お互いのプレーエリアが広がったからだと思う。左利きの陽は中に切り込むプレーをよくしてくれるから、俺がサイドの空いたスペースに走り込めるようになりました。

菊池:高校時に比べて攻撃のパターンが明らかに増えました。結構自由にプレーできるようになったね。

宮崎:そうだね。高校では陽を活かすサッカーをできなかった分、今サッカーが変わってやりたいことができているのかな。

菊池:光太郎と一緒に浪人して、体育会は諦めたけど、同じサークルでこうやって自分たちの理想的なプレーができることって幸せだなって思っています!

 

*最後にお互いに向けて一言

宮崎:高校では点を取れなかったから、大学では点とってほしいなと思います。後ろは守るので勝負を決めてほしいなと思います(照)。

菊池:自由にやらせてもらっている分、重荷が外れてリラックスしてプレーできている。後ろは光太郎を信頼しているから、自分がチームを勝たせるプレーをします!

宮崎:慶應カップは絶対優勝しなきゃいけない。チーム全員で絶対に獲ろう。

写真:大学での菊池(左)宮崎(右)

 

慶應NINDOの主軸であるキャプテン宮崎と絶対的エース菊池が形成する連携プレーを今後見ることができるであろう。学内戦(慶應カップ)ではどのようなプレーを見せ、チームに勝利を届けるのであろうか。高校時代からの厚い信頼関係で結ばれている2人の物語はまだまだ続く。今後の菊池・宮崎ホットラインに注目したい。

 

 

ホットライン2:横井創×奥野開

次に紹介するホットラインは早稲田稲穂のキャプテン横井創(以下:横井)と「稲穂の心臓」こと奥野開(以下:奥野)だ。2人の出会いは小学校時代にまで遡る。一緒にプレーを始めたのは早稲田実業高校でチームが一緒になってからであるが、プライベートでは小学校からの長い付き合いがある。幼少期から親友関係にある2人の信頼関係、そして2人が形成するホットラインに迫ってみた。

 

*高校で2人の関係性は??

横井:俺と奥野は小学校から一緒で仲良いから、高校でも俺らは特別仲良かったです。

奥野:そうだね、高2の時にはクラスが一緒になって授業中も休み時間も毎日一緒に話していました(笑)。学校や部活ではもちろんのこと、プライベートでもずっと仲良いんです!

 

*高校では二人はどのようなことを意識してプレーしていた?連携プレーはあった??

横井:高校の部活のサッカースタイルが前に蹴るサッカーだったから、センターバックの俺からボランチの奥野にボールをつける局面はあまりなかったよね。

奥野:そうだね。実は俺はボールを受けたかったんだけど… センターバックからボランチにボールをつけたら監督に怒られたもんね(笑)

 

写真:小学生時代の奥野(左)と横井(右)

 

意外にも高校時代には、部活のサッカースタイルが故にホットラインは形成されていなかったようだ。高校時代には連携プレーがあまりなかった2人の間で、大学になってホットラインが形成されるようになったのはどうしてなのだろうか。

 

*高校時代には2人の間での連携プレーがあまりなかったにも関わらず、どうして大学になって2人の間にホットラインが形成されるようになったと思う??

横井:やっぱり幼少期からお互いの信頼関係があるからだと思います。2022年度の稲穂ファーストゴールは奥野のコーナーキックから俺が合わせたゴールだったよね(学内戦のグスタ戦)。ここら辺に走りこめば、奥野がいい感じでボールを出してくれるだろうと思って、セットプレーの時には走り込んでいます。

奥野:そうだね。俺もこの辺に蹴ったら、横井なら合わせてくれるだろうと思って蹴っています。あと稲穂が最近サッカースタイルを蹴るサッカーからボールをつなぐサッカーに変えてから、俺たちの間のボールの受け渡しが増えたよね。

横井:そうだね。練習でもセンターバックの位置から丁寧にボールをつなぐことを意識してやっていて、その時にやはり奥野は良い位置にいつもポジションをとってくれています。

 

まさに阿吽の呼吸。小学校時代からの長い付き合いの中で構築された信頼関係が繰り出す連携プレーと言えるだろう。

 

*最後にお互いに一言

横井:奥野には試合終盤まで走り切れる体力をつけて欲しい(笑)。奥野は替えが効かないからね。稲穂に欠かせない存在だからね(笑)。

奥野:体力つけるために、今高校時代よりも自主練しています(笑)。んー、俺はやっぱり、去年あれだけ良い成績残したからこそ、今の勝てない現状が悔しいし、絶対勝ちたい。勝つためにはキャプテン横井中心になってみんなで1つにならないといけないと思っています。頼むぞ。キャプテン。

写真:熱いハイタッチを交わす奥野(左)と横井(右)

 

早稲田稲穂のキャプテン横井、「稲穂の心臓」こと奥野のホットラインは今後あらゆる局面で見られるであろう。パスサッカーにサッカースタイルを変え、新しく生まれ変わった早稲田稲穂はこの2人の連携プレーを中心にどのようなプレーを繰り出すのであろうか。今後の早稲田稲穂、そして横井・奥野ホットラインに注目だ。

 

 

 

 

Written by

中嶋 快

nakajimakai

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